| - 2000/4/13
- リディア旋法の終止音に似たため息を伴って、妹はわたしの腕のなかで死んだ。
緋色をした妹の血が、白い綿のワンピースをあざやかないろに染めていったさまを、わたしははっきりと覚えている。幼さばかりが残る華奢な胸を紅く彩どったその血は、樹枝めいた細い腕やレースで飾られたペティコートを、妹のいろに変えて。--これは神聖な儀式なのだ。 銀色をした無機物が、わたしの手のなかできらきらと踊る。そのたびに妹の傷口から、美しい液がこぼれ落ちてゆくのだ。それは色あざやかな証拠となって、まるでこの世の禁忌のための贖罪のように、聖別の儀式を縁取って。そうだ、君のせいだ、だって君は僕の前で、あんなにも美しい声で泣いたから。言葉を飲み下したわたしの唇をこじあけてためいきは、妹の蒼ざめた頬に風を生む。 --糸の切れる微かな音がして、滑稽な形の模造真珠がいくつも、緋いいろをした地のうえに散った。
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